和紙探訪 · 11日 1月 2023
竹す透かし入り卒業証書
和紙探訪 · 11日 1月 2023
神奈川県唯一の和紙
神奈川県内北部には海底紙(おぞこがみ)という全国的な知名度は低いものの江戸中期から続く手すき和紙があります。以前から興味はあったもののなかなか訪れる機会のなかった愛甲郡愛川町へ横浜市内の小学校下見を兼ねて行ってきました。 海底紙は、今は愛川繊維会館レインボープラザと神奈川県立あいかわ公園にて展示の見学と体験ができます。あいかわ公園の方は営業日ではなかったので、施設の見学はできませんでしたが、レインボープラザには事前に見学の申し込みをして、充実した設備などを見せて頂きました。大型の紙漉き舟4台、叩解機(スタンパー)、ビーター、圧搾機(ジャッキ)、脱水機、平置きと縦型の乾燥機がありました。A3ほどの卒業証書透かし入り竹すが11枚あり、冬になると卒業証書を地元の小学生が漉くそうです。他にも横に5枚連なるはがきの溜め漉き道具もありました。裏手には軒下に乾燥白皮5キロほどを煮る煮熟釜、水槽がありチリよりを大人数でできるように配置されていました。この施設は繊維会館とあって、機織りや藍染め体験もできます。なかでも、組紐の組み台は数多くあり、夏休みなどに子供たちの体験として人気があるようです。
檜原村 · 10日 1月 2023
暖炉で楮を蒸す
2021年から檜原村に工房を構え3年目。ようやく暖炉の使い方にも慣れてきました。煙突掃除はまだしていませんが、吸い込みも順調です。暖炉下部にある通気口を回して空気の入り口を確保した後、暖炉の入り口に工房周辺に落ちている枯れた杉っぱ→燃えやすい杉や檜など針葉樹の薄い板きれの順に積み上げ着火します。杉っぱは新聞紙や松ぼっくりと同じ効果があり、メラメラと燃え上がります。暖炉の上に寸胴を置く際に、暖炉上部にある蓋を外すと直火になり、熱が伝わりやすく早くお湯が沸きます。最初はよくわからなくて、なかなか沸騰せずどうしたものかと途方にくれましたが、火力や通気などを確保したり、友人のアドバイスにより3回に一度くらい灰を掃除したりしてうまく使えるようになってきました。冷え切った暖炉が温まると途端に火力も増し、部屋中が暖かくて、温泉に入っているような感覚になります。 楮を蒸すにはお湯を沸かしてから更に3時間くらいかかるので、合計4時間くらい。楮を蒸すいい匂いがしてくると幸せな気分です。
障子紙 · 04日 1月 2023
ステンドグラス障子のススメ
2023年正月、昭島の自宅の障子を張り替えました。貼り方は、石垣張りです。障子の桟でまず縦寸法を合わせ、横は和紙を2~3ミリ程度貼り合わせてつなぎ、貼った後にはつなぎ目が石垣のような風景になります。正直、貼るのは骨が折れますが、仕上がりの満足感は格別です。朝日に映えるステンドグラスのように輝く障子は神々しく、美しいです。早起きした娘は、歓喜の声を上げました。 使用した和紙は、日本橋の小津和紙体験工房で漉かれた紙漉き体験用の見本紙。様々な落水紙、植物や素材を漉きこんだ和紙、染めた原料で模様を描いたり楽しい和紙がたくさんあります。是非、創作にあふれる小津和紙にもお越しください。アーティストや大学生の制作にも対応しており、作家さんのアイディアをスタッフの経験と知識でサポートして、また繰り返し学ぶことで独創的なスタイルに変貌する紙漉きに、伝統と革新に触れる思いで活気にあふれています。
東京戸倉和紙 · 24日 11月 2022
しろやまテラスの版画展
あきる野市では、毎年海外を含む版画アーティストを招聘し、アートスタジオ五日市で3か月間作品を制作し、展示公開する事業を行っています。 今年は、台湾出身者を含む女性アーティスト3名。独特な感性を披露し、見応えのある作品でした。 中でも一番熱心 に和紙を漉いていた下村さんの作品が、こういう形になるとは…(写真参照)。落水を施した和紙にフレームを刷り、窓に展示してありました。和紙の繊維感と戸倉の秋の風景がどこか幻想的でもあり、リアルでもあり、不思議な浮遊感を感じさせる作品でした。
東京戸倉和紙 · 22日 11月 2022
トロロアオイ豊作
2022年春からトロロアオイの種まき、施肥、土寄せ、草取り、土寄せ、芽掻き、草取り、芽掻き、草取り、芽掻きを経て、ようやく11月中旬、収穫となりました。戸倉の畑でトロロアオイを作るのは初めてでした。養沢は石がごろごろしていましたが、戸倉は石がない分地中深く根をはるトロロアオイに手を焼きました。最後は諦めてしっぽを切断!機械ならば楽なんだろうけど、すべて手掘り人海戦術で乗り切りました。興味を持って労働に勤しんでくださった皆様ありがとうございました。その後、タワシで水洗いし、ジップロックに袋詰め、各自欲しい分だけ根を分配しました。 根の洗浄はなかなか骨の折れる作業です。今年は、戸倉和紙のメンバーによりトロロアオイ豊作だったので、残りは北村が数回に分けて高圧洗浄機で根っこを洗いました。夏にわださんから頂いた冷凍庫と私の冷凍庫が満杯になるほどの豊作でした。来年は作らずに様子をみます(^-^; ありがとうございました!
東京戸倉和紙 · 06日 11月 2022
11月6日、東京戸倉和紙工房にて紙漉きのワークショップを行いました。「東京戸倉和紙8周年作品展ー戸倉の秋」展に関連して、地域の皆様や和紙にご興味がある方々に来ていただくことができました。楮の皮を剥ぐ感覚、日向ぼっこをしながらおしゃべりをしてチリよる何とも穏やかな時間、軽く絞って木槌で叩いていくとあっという間に粉々になり、それを水にとかした時の快感。トロロアオイの見事な粘り、薬品保存しないので自然なまま。水、紙料、トロロアオイから抽出したネリを竹の棒で混ぜる音。紙漉きは、汲み込みの緊張感と心地好いリズムで漉いていく。 ここ50年の間に、すべてのモノづくりが機械化され、賃金の低い国々での生産と引き換えに私たちが失ったものは、手で作る感触の心地好さではないでしょうか。食べることに関しては、農園で畑を耕し、収穫して野菜を洗い、料理し、味わうことができます。機械や電気に頼らず作ることで、色々なことを感じることができます。そこには、驚きや発見、皮膚を通して感じる心地好さがあります。とはいうものの、私も来年50歳、以前よりも気力や体力の衰えを感じます。機械に頼る気持ちも分かるようになってきました。
展覧会 · 06日 11月 2022
東京戸倉和紙8周年記念!
♦2022年 10/27-11/17 東京戸倉和紙8周年をPOUNDにて展示をしました。東京戸倉和紙のメンバーの展示です。杉野さんは張り子、花ちゃんは小箱と透ける和紙、高木さんのレジンと和紙を組み合わせたアクセサリーや和紙に蜜蝋を塗ったアートパネル、佐々木さんは御朱印帳、私は照明や名刺入れ、和綴じノートなど。今までない多彩な展開で、振り返ると2022年は戸倉和紙ファームも含め活動をよく頑張ったなぁ~と思います。新メンバーに感謝です。和紙はアートに取り入れやすい素材だと思うので、栽培から繊維の感触を楽しめる活動に興味を持っていただけると嬉しいです。特に会費はなく、出入り自由のゆる~い集いです。
 · 05日 11月 2022
日本橋の楮
秋、楮が紅葉する季節です。9月から都心の和紙工房へ、月に9日勤務を始め早2か月が立ちました。面接の際に発見した街路樹から威勢よく枝を突き出す楮も、紅葉し始めました。落葉したら、許可を申し出て採取出来たらと思います。
展覧会 · 22日 10月 2022
水の動きをとらえる
大好きな作家さんのお一人。「明松政二の紙漉」展が上野の東京松屋にて開催されました。和紙文化研究会の例会案内に同封されていた展覧会のお知らせ。14年前に行った明松氏の展覧会のダイナミックな躍動感を再び思い出した。その時はお会いできなかったが、今回偶然にお会いすることができた。最近辞められた三宅氏や龍神村の奥野氏が同じ世代で切磋琢磨して来られたこと、東京に近い飯能の柳井氏のことにも触れながら、ご自身の作品についてお話を伺うことができた。その中で「真菰」という植物を紙にして、捨てるところがなく優秀な植物であること、種や根を食用にできることを教えていただいた。印象に残ったのは「水のうごきをとらえる」という言葉だ。明松氏の紙は、四角い枠に留まらない水の動きを表現している。とても荒々しく美しい水の動き。明松氏の生き様を感じた。

さらに表示する