· 05日 11月 2022
日本橋の楮
秋、楮が紅葉する季節です。9月から都心の和紙工房へ、月に9日勤務を始め早2か月が立ちました。面接の際に発見した街路樹から威勢よく枝を突き出す楮も、紅葉し始めました。落葉したら、許可を申し出て採取出来たらと思います。
 · 01日 3月 2022
檜原村の楮
檜原在住のTちゃんより、お声がかかり小沢の楮を収穫した。ここの楮は栽培種の虎斑楮で、在来の姫楮と違い、植林伐採後に旺盛に繁茂している。2~3年に一度刈り取らせて頂き、今年で二回目だ。日当たりが良く、良好な成育環境だが、山主には厄介者だろう。今年は元郷の楮を思い切って交渉して刈り取らせていただき、ようやく剥いで乾燥したところにさらに収穫のチャンスを得た。人脈は本当にありがたい。檜原和紙生産に向けての第一歩が整った。
 · 28日 5月 2019
今週、久しぶりに八王子の結の会に行くと、元気な楮がにょきにょきと勢力を拡大していました。楮は、切ると元気になるな~と感心します。自分も打たれ強い人間になりたいと楮をみて、いつも思います(笑)。 5月下旬、あっという間に50cmくらいぐわっと成長している楮もいて、楮の成長に追われるようにお世話をして、ある程度の太さでたくさん収穫できるように間引きをしてきました。次は芽かきの予定です。 3月に根っこで移植した楮がほぼ定植していて、感激しました。一昨年、去年とあきる野の楮を斜面に移植したところ中々つかず、場所が悪いのか変えてみたり…。結の会の楮は高尾の森林研究所の方が20年以上前に移植したもので、虎斑楮で太く収穫量も多いです。楮は色々な種類があるので、葉の形、産毛、樹皮の色など研究できたらと思っています。
 · 22日 2月 2019
東京都あきる野市には、東京都無形文化財に指定されている軍道紙があります。五日市郷土館発行の郷土館だより『郷土あれこれ』第27号(1989.6.1発行)「軍道紙の話」には出典の記載がないものの「近世初頭の五日市地区で、紙舟役(紙の生産に対する税)が課せられていた村が9ヵ村ある」として「養沢・乙津・戸倉・小中野・深沢・高尾・三内・伊奈・網代」を挙げている。このうち、筆者は養沢・乙津・戸倉・小中野・三内で楮を確認した。写真は戸倉の楮である。3年前に杉野さんが散歩中に見つけた楮で、イノシシなどの獣の気配がするような藪だった。楮にたどり着くまでに笹を払い、1年2年と手を入れてようやくお日様を求めて縦横無尽に伸びた楮にたどり着き、刈り取ることができた。現在調査中だが、かつて紙すきをしていた地域では、人の手が入らない場所でよく楮を見かける。植物が歴史を語っているようで興味が尽きない。
 · 22日 2月 2019
1月4日に刈り取った養沢の楮、1月28日の戸倉楮、2月19日の乙津と檜原楮を同時に蒸しました。結果は、前日に刈り取りした乙津、檜原楮がスルリと剥けて良い感触だった。つまり、刈り取ってすぐ蒸した方が良いと思う。恐らく、楮原木に含まれる水分量が関係しているのではないだろうか。刈り取りから47日経った養沢楮、23日経った戸倉楮の中には中心のガラ棒に内皮がやや残るものもあった。戸倉和紙の作業で、昨年12月21日に刈り取った楮を38日後の1月28日に蒸した際、全体的に内皮が残り、剥ぎにくいという状態になってしまった。火力の問題もあったかもしれないし、1月は1か月間雨が降らない稀にみる乾燥状態で、インフルエンザが大流行した月だったので、空気中の水分量も関係したかもしれない。 以前、夕方かまどに火を入れて1時間くらいで帰った時に、内皮が残る状態になりなかなか蒸しあがらなくて困ったことがあった。これは、鍋の中の水が温まった状態で楮が春と勘違いし、剥きにくくなったと推測している。3年くらい前に戸倉で3月20日過ぎて楮を蒸した時と同じ現象だった。毎年色々なアクシデントがあり、自然って面白いなと思う。
 · 21日 2月 2019
元八王子にある結の会では、ロケット式のかまどが二基ある。楮を蒸す際に燃焼効率や煙が少ないといった点から近隣住民への配慮が期待できる。右は100Lのドラム缶、左は寸胴鍋で両方とも違いなく蒸すことができる。寸胴はドラム缶に比べ、丈が低いのでその分内側を古バスタオルや古シーツを厚めに巻いたり、シートで覆う(写真参照)。薪は、最初は楮の細いガラ棒を使い、火力が安定してくると2cmくらいのガラ棒も燃やせるようになる。水分を含んでいるガラ棒だと、煙が出たり火の勢いがなくなるので、近所の作業所で出たヒノキの端材も一緒に燃やすと炉内から太い火柱が立つように勢いづき強火の状態が保てる。この状態を4時間保つと蒸しあがる。ロケット式は、冬場は炉内が冷えているので上昇気流が起きにくく、温かい日の方が炉内が温まっているので簡単に温度があがり、火が安定する。しかしながら、一人で作業するにはなかなか疲れる。この日はアシスタントの佐々木さんが2時間半くらい火の番をしてくれて、後半は後退した。蒸しあがると、皮をはぐ。
 · 25日 1月 2019
昨年12月上旬から楮の刈り取りを始めました。青梅子どもエコクラブのスタッフさん4人と青梅市成木にて地権者の方に許可を得て刈り取りました。その後は、あきる野市養沢、戸倉。戸倉では、東京戸倉和紙の杉野さんはじめ、アシスタントの佐々木さん、アーティストインレジデンス以来の花ちゃんなど若手も参加して1日で刈り取りから楮かしきまでできました。元八王子にある結の会の楮は、成長が良く頼もしい存在です。新年には4日に竹籠職人の関田さんに年末一人で刈り取った残りを手伝って頂きました。関田さんは、1月19日~27日までクヌルプAAにてミズキや楮を使ったハナの展示をしています。まっすぐな楮のガラ棒を何本か提供しました。 1月中旬には、川越の池田さんが毛呂山の別宅に和紙を貼りたいというご希望があり、あきる野市落合の楮の刈り取りから取り組んでいます。今年は昨年に比べて早めに進んでいますが、これから檜原村の楮の刈り取りができたらと考えています。刈り取りにご協力頂き本当にありがとうございます。池田さんのように楮の刈り取りから和紙漉きまで取り組みたい方大歓迎です!
 · 12日 11月 2018
飯能、名栗の紅葉あかり展が無事終わりました。11月9日~12日まで、4日間の内3日間名栗に通いました。青梅から飯能に抜けるルートは紅葉が美しく、楮もかなり目撃しました。成木街道は平日ダンプカーが行きかうものの、車自体少なくしっとりとした紅葉を堪能することができました。 今回の楮を目にして、『武蔵田園簿』の記述を改めて思い出しました。現在の行政区で見てみると青梅市では、沢井、二俣尾、下、成木北小曽木、小曽木黒沢、成木、勝沼で紙舟役が課されていました。紙舟役とは、紙を漉く舟ごとに課税されることを意味しています。一方、飯能市では、唐竹、赤沢、苅生、永田、白子、平戸、虎秀、井上、長沢地区で紙すきが行われていたようです。紙舟役の貫目を集計してみると、飯能がダントツに多く、ついで青梅が多いことはほとんど知られていない記録です。ユネスコ無形文化遺産に指定された細川紙で有名な小川町は何と3番目です。4番目は都幾川、5番目が東秩父です。ちなみに、小川と東秩父を合算すると青梅を勝るが、飯能には及ばない。歴史は埋もれ、自生する楮が静かにその歴史の隠れた姿を今も伝えている…。そう思うと山道も楽しい散策となる。
 · 13日 6月 2018
約2年がかりで制作したひのはら杉皮和紙の襖がようやく完成しました㊗ 最初は、杉皮を煮るところから。苛性ソーダでないと煮えないと聞いていたけど、ソーダ灰でもそれなりに煮えました。でも、やや固く滑らかな杉皮にならないところが煮えないという意味なのかもしれません。そんなやや固い杉皮を裂いたり、叩いたり…または杉皮の量を調節したりして試作を重ねました。杉皮をたくさん入れて楮はつなぎ程度にした茶色い杉皮和紙は部屋の雰囲気が暗くなるからとボツになり、最終的に楮を多めにして杉皮の筋が入る和紙になりました(写真)。A3程度の道具で漉いているので、一枚では張れず、襖の下張りをヒントにパッチワーク風になりました。また、襖を張るには、糊の濃度を変えるなど諸先輩方からご助言をいただき大変参考になりました。 施主さまとの共同作業は長い時間がかかりましたがとても楽しく、発見もありました。今後もこうした紙すきに取り組みたいと思っています。 余談ですが、今年の紙綴りのカレンダー11月12月分は、この制作過程でできた和紙です。Aさんのアイディアにより、あえて楮の黄色い筋を入れるというデザイン性に富んだ美しい和紙です。
 · 03日 6月 2018
一般社団法人東京和紙でも楮を食べる、和紙を食べるという趣向は研究されていたが、思いがけずいつもお世話になっている結の会にて楮の天ぷらが実現しました(^^♪ どの文献だったか、以前読んだものにかつて楮の若芽をご飯に入れて一緒に炊く糧飯が食されてきたようである。そんな感覚で、あるアクシデントにより、結の会の中川さんが畑に自生するアザミやペパーミントやその他の草で天ぷらをして頂けることになった。宿紙をすく西海君が自家製の手打ち蕎麦を持ってきてくれたことがそもそもこの幸運のきっかけでもある。 午前中に結の会に生えている楮の芽かきをしていたので、その辺に生えている草で天ぷらを始めた様子をみて「お!」とひらめき、かいた芽を拾うと萎れて丸まっていた。これでは、ダメだなと思い、わずかにかき残した芽をみつけて天ぷらにしてもらった。写真のように存在感のある葉脈、ややざらッとした歯触りは野性味があったが、もちッとした触感はここにいた4人には好評だった。ここの楮は梶の木に近い楮なので、葉にざらつきがあるが、山楮(姫楮 )ではも少し違うかもしれないと新たな興味も出てきた。

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