道具

道具 · 20日 8月 2022
勝地半紙の原田宏氏から頂いた竹ひごで
2005年頃だろうか。島根県江津市桜江で勝地半紙を漉く原田宏氏の工房に石見の紙布(かみぬの)および紙漉きの調査をさせて頂いた。その際に、原田氏から頂いた古い簀(こげ茶色の竹ひご部分)を17年ぶりに編みなおして使いたい気持ちになり、簀編み職人の井原圭子氏に相談したところ、快く引き受けてくださった。頂いた簀の寸法から編み直しできそうなサイズを決めて、新たに桁を注文し、不足したひごは井原さんの方で追加して頂いた。制作に20万円弱ぐらいかかったが、出来上がった簀桁は宝物であり、早くこの道具で紙漉きがしたい。
道具 · 21日 2月 2019
10年程前に、和紙文化研究会の研修旅行で美濃和紙を訪ねました。幸草工房さんで見かけた美濃特有の木槌を思い出し、iwai工房さんをご紹介頂いて半年前に注文しました。1対2本で使用しますが、私には重く1本で使っています。送料、税込みで1本あたり2万円しますが、赤松の良い香りがして、チリ(細かい表皮)を取りやすいように感じます。興味深いのは、他産地で見られるような棒状ではなく、打出の小槌型とでも言うような形状に菊模様の切込みが施されている点です。楮との接地面は約13cmで、上にいくに従い細くなり上部は9cm、柄は28cmと短めです。重さは1本675gと700g(2019年2月21日現在)で、中をくり抜いて軽さを出しているとのことです。昔は、紙すき職人自ら制作したと岩井さんから聞きました。赤松は、岐阜県郡上市明宝小川産で、2018年10月に伐採し、天然乾燥したそうです。乾燥によりひびや割れが生じやすいので注意が必要です。特に、山中の美濃よりも関東(東京)の方が乾燥していると考えられるので、その点を心配されていました。使用しないときは布をかぶせ、紙箱に入れて保管しています。
道具 · 21日 9月 2018
秋に飛騨高山や白川郷を旅した。飛騨高山の北にある河合町に山中和紙があり、行ってみた。アポなしだが、いなか工芸館の一枝さんがよく説明してくださり、温かみを感じた。『和紙植物』によれば、林野庁林産課長の片山佐又著『技術経営 特殊林産』(林業体系第二冊、朝倉書店、1952年)に昭和26年頃の楮皮生産のさかんな土地が挙げられている。福島、茨城と続き岐阜県では唯一吉城郡河合村(現飛騨市)があり、和歌山、岡山、山口、愛媛、高知、佐賀、熊本、鹿児島で栽培がさかんだったようだ。そんな楮栽培が盛んだった河合の表皮とりの道具は麻の皮を剥ぐ苧引きに似たような道具だった。軍道紙では、菜切り包丁を半分にしてホウノキ柄に刺して使う。いわば、写真の楮たくりに柄がある状態。しかし、楮たくりには柄がない。同じ作業でも、地域によって形状に違いが見られ面白い。どちらの方が作業性が良いのか、以前福島県の昭和村で苧麻用の苧引き道具を購入したので、比較してみたいと思う。
道具 · 14日 12月 2017
小平の駅前にSeriaができてから100円ショップは気軽に行ける場所となった。園芸コーナーで肥料を見たついでに後ろを振り向くと楮引きに使えそうなスクレーパーがある。今まで使っていたスクレーパーは、斜めにカットされていて利き腕を選ぶので、そうではないものとしていいかなと思い購入しておいた。最近思い出してそのスクレーパーで楮引きしてみると、とても使いやすいのでご紹介します。スクレーパーのやや持ち上がった先端を下にして、水でもどした黒皮をゴシゴシ擦る。そうすると皮がむけ、手で引っ張るとすーとむける。斜めのスクレーパーに比べて力もいらず楽です。 それから、下の台(木)は素麺の蓋を二つに割ったもので恐らく桐材。桐なのでやわらかく、スクレーパーの傷でささくれてしまいます。軍道紙では、傾斜がついた楮引き台でしたが今のところこのタイプで作業しています。那須楮の大子地区で楮引きを見学した時は傾斜のある面にわらじが乗っかっていて面白いな~と思ってみていたけど、考えてみるとその柔軟性が体への負担を軽減しているのかもしれないと思う。今度やってみよー。あ、さすがに100円ショップでわらじは売っていませんね(笑)
道具 · 01日 9月 2017
先日実家の川越に帰省し、埼玉県の都幾川町に行ってきました。やすらきの家(うどん屋)で昼食をとり、お腹が一杯になったところで荒井木工所さんへお邪魔しました。外はバケツをひっくり返したような土砂降りで、荒井さんが傘を持って待っていてくださいました。ありがとうございました。以前松本さんからご紹介を頂いた建具屋さんで金網判の道具を製作しています。竹簀の道具は静岡、高知、愛媛、岐阜、越前、鳥取などで製作されていますが金網の道具は大工さんや建具屋さんに注文するという話を聞きます。私の場合は、はがき8枚取り+名刺21枚取り+証書判で4万円くらいでした。他で販売されている道具より直売だけにずっとお得で質も良いです。今回は、コースター用の枠で12枚取りを注文しました。 帰りに谷野さんの新しい工房を見学させていただき、ソーダ灰も分けて頂きました。手漉き和紙たにのさんは、以前は建具会館の裏にありましたが、手狭になったこともあり都幾川中学校に併設された旧給食センターへ移動しました。圧巻は薪釜で一度に40キロの楮を煮れるそうです。舟も5~6台あり、若手の職人さんを育成しています。今後のご活躍が楽しみな工房です。