去年の夏、もっと言えば数年前からお話を頂いていた障子紙と襖紙のご注文。東久留米市在住の陶芸家Tさんがご自宅を立て直し、お茶室を造ることになってそのお茶室の障子と襖紙に使いたいとのこと。大変光栄なお話。障子はともかく、襖は1.2m×2mと巨大だった。大きな和紙はふるさと工房時代に柳井さんや滝沢君らと100枚漉いた経験が財産になっている。ここ数年、木工のワークショップに参加したり、N氏とウッドデッキを製作して大きな漉き枠を作れるイメージがあった。大学のアシスタントや小学校の紙漉き体験、初釜イベントを経てようやく襖紙の仕事に入ることができた。施主のTさんは、年末に工房へ足を運んで下さり、楮の表皮とりをしてくださった。ここから約3か月半、…よくがんばりましたm(__)m
明日は森の学校で楮の刈り取りワークショップがある。参加者は少ないが、村内で自生している楮を探していたら白倉地区に自生している楮を見つけた。
地主さんがわかり、許可を頂いて明日に間に合うことができた。感謝。
07日 1月 2024
初釜和紙の紙漉きは1/7。表皮とり1/5,煮熟1/6,チリよりと叩き、1/7紙漉き。梶ノ木の和紙を初めて漉いた。
今年の初釜イベントは早い。そのため、収穫した楮を和紙にするには年始から仕事を開始しなければならない。そんな意気込みで始まった2024年…。小平のMさんから頂いたカジノキを初釜和紙にします。
30日 12月 2023
秋頃に埼玉県富士見市にある難波田城公園の元学芸員さんからお面の紙についてご相談を受けていた。東京和紙の時にも聞いた話だが、お面の下地を構成する支持体に使用する浅草紙、漉き返し紙が不足していた。小川町の島田さんが高齢により漉けないので、お面や人形作家さんは大変困っているようだった。まずその紙の価格が安いこと。写真にある紙の大きさで販売価格100円くらい。原材料は、新聞故紙と古い楮紙が1割だったか。それを巨大なビーターで叩解してドロドロにし、漉き枠に組み込んで引き上げて漉く。何度も組み込んだり、捨てたりしない。流し漉きの漉き方ではなく、溜め漉き。紙床に置く際に新聞紙をはさみ、高く重ねていってそのまま圧搾し、間紙の新聞紙ごと広げて干す。お面の紙のお話を頂いて、田村師匠が小川の兄貴と慕っている島田さんのところへ連れて行ってもらった。私もチャレンジしたいと思ったが、1枚500円でも無理だと思った。枚数が多く、体力と生産力が追い付かないという判断だ。和紙店で他の産地で機械すきをしている業者の紙を見せてもらい、面師さんに送ってみた。機械すきでも販売価格800円くらいだったと思う。
ずいぶん昔に徳島県木頭村へ太布織の調査に行ったことがある。その時に「これはウシカジ」と聞いて、元牧場娘の私は牛の餌になるかと頂いてきた楮。成長は旺盛で、梶ノ木に近い印象だ。若干葉の形が梶ノ木とも違うような違わないような。小平時代からプランターで育ててきたが、引っ越して昭島の家の隅に置いておいたらいつのまに根付いてしまったようだ。
25日 10月 2023
京都工芸繊維大学の自転車を置くような空地に1本だけ梶ノ木が生えている。その木が伐採対象ににっているので、和紙の授業で使おうとKさんと収穫に行った。5mくらいはありそうな…。立派な梶ノ木だった。
小津和紙では、落水の体験紙漉きが人気だ。基本的にプラスチックの型を漉いた和紙の上に置いてからシャワーをかけるのだが、クリアファイルの型をお客さん自身が自作しているのを見て、積み木や廃材でもできるのかなと思うようになり試してみた。漉きあがったばかりに紙の上に置くと気泡が入ってしまうかもしれないので、ヒートンで足をつけるアイディアをTさんがくれた。完璧にできた!これはまだまだ応用ができそうな気配である。
毎年ご依頼頂いているやまっこかわっこの卒園証書紙漉き。今年はどんなやんちゃさんがいるか楽しみににしている。川沿いの園庭で、楮の表皮とり、煮た楮の叩き、そして園舎一階の土間で紙漉きをする。周辺には自然がてんこ盛り。卒園証書には、先生が墨書するスペースも必要だがそんなことはお構いなしに、子どもたちの創作活動は続く。
現代浮世絵師島崎良平氏の展覧会が銀座で行われた。島崎氏は檜原村在住の浮世絵師で数年前から和紙のご注文をいただき、檜原村産の楮で作った和紙を「檜原和紙」と命名してくださった。
私は和紙の耳(四角い部分からはみ出たところ)が好きなので、そのまま納品した。島崎氏の展示ではその耳がそのまま生かされたようになっていてとても嬉しかった。